藤谷先生の旅日記 第1号
2024.4.22-26
藤谷先生の旅日記 第1号
2024.4.22-26
岡山県 西粟倉村
第1回遠征は、岡山県西粟倉村へ!
私のセカンドライフが始まりました。これから先の約20年、学校教育しか知らない私の新たな挑戦です。
「大滝小を児童数100人の学校に復活させること」を目指して…。
そのためには斬新な地域改革と、若い世代が定住する仕組みづくりが必要です。先ずは、全国の地域創生の成功事例、とりわけ中山間地の成功事例について、実際に現地を訪問して学ぶことからスタートします。というわけで滋賀県立大学鵜飼教授お薦めの「西粟倉村」に行ってきました。
西粟倉村役場へ直行!
視察は事前申し込みが必要!しかも2名以上で!とHPには書かれていましたが、知らぬふりして役場に直行しました。萩森惇実さんが気持ちよく応対してくださいました。なんと、現在53名の地域おこし協力隊員が着任しているそうです。人口1,300人ほどの村に53人!凄くないですか?
任期は3年なので毎年メンバーは入れ替わるのですが、3人に2人は任期終了後も西粟倉村に定住し、起業あるいはOBが起業した会社に就職するなどして地域創生に貢献しているとのことです。萩森さんに、アポなしで会ってもらえそうな数名の方を紹介していただき突撃訪問することにしました。
まずは西粟倉の温泉施設「黄金泉」へ!
大滝に温泉施設を作りたいと思っている私は、当然のことながら一番に温泉施設「黄金泉」に向かいました。内風呂が3つ、露天風呂が1つ、施設は村の所有ですが、運営はONETABLE(ワンテーブル)という宮城県に本社を置く指定管理業者がやっていました。
温泉に入浴後、所長の角田翔太さんにお会いして話を聞きました。開口一番、「温泉は儲からないですよ!」と…。売り上げの約半分が燃料代に消えるそうです。燃料は、森林資源豊富な西粟倉の間伐材や廃材を格安で仕入れているにもかかわらず、売り上げの半分になってしまうそうです。
正直なところ、これといった特徴がなく人口1300人の村の温泉好きな方々が入りに来る程度で、「そりゃそうなるやろ!」と思いました。施設も立地条件も悪くはないので、もう少し個性を作るべきだと思いました。
田中一則さんから聞いていた「ようび」へ!
次に「今の安い木材を、加工することで価値を生み出す!」家具製造会社の「ようび」を訪問しました。大島社長も与語部長も不在でしたが、滋賀県から来たと言うと、与語さんと連絡を取ってくださり、とても親切に宮川部長補佐が対応してくださいました。
店内には、手作りの素敵な家具が多数展示されていて、「加工して価値を生み出す!」に納得しました。現在は、建築設計部門にも事業を拡大されていて、隣接した八頭郡智頭町(鳥取県)の廃校となった小学校を温泉付きの宿泊施設にリノベーションした「ナギノ森の宿」を紹介していただき、早速見学してきました。
与語部長のセンスの良い設計でリノベーションされた宿泊施設は、「えーっ、そんな値段でこの部屋に泊まれるの?」と思わず声が出ました。めちゃめちゃ親切な大谷さんが、隅から隅まで案内してくださいました。
教師の本能か…、小学校も見たい!
やはり本能といいますか、西粟倉の学校も見てみたいと思い、西粟倉小学校に電話をかけて高本英樹校長にアポを取りました。新年度がスタートしたばかりの超多忙な状況は十分わかっていたので、「20分だけお時間ください。」とお願いしたところ、気持ちよく(?)受けてくださいました。
学校目線で西粟倉村をどのように見ているのかを知りたかったのです。
予想通り、課題がいくつかありました。顕著な課題は、「移住者と地元で生まれ育った保護者との感覚の違い」です。
しかし、高本校長の人柄で見事に「融合」を生み出し、順調に学校づくりを進められていることがよくわかりました。裏話(?)もたくさん聞かせていただき、20分のはずが2時間半もお付き合いくださいました。帰りには、「キャンピングカー見せてください。」とおっしゃって、私の愛車をじっくりと観察され、「私も絶対に買おう!」とおっしゃっていました。(笑)
「西粟倉むらまるごと研究所」訪問!
高本校長の紹介で、通称「むらまる研究所」を訪問しました。
ここは、移住者である地域おこし協力隊の方たちが、地元住民の暮らしを豊かにするために、料理教室や子供たちの体験活動など様々なイベントを企画され、まさに「移住者が地域を大事にする」取り組みをされていました。
管理栄養士の資格を持つ江角友美さんが「優しい笑顔」で地元の方々に親切に関わり、楽しい催し物を企画して地域に認められているのがよくわかりました。
一般社団法人「Nest」の「ポケット」を訪問!
こちらも、高本校長に紹介してもらって訪問しました。代表の福岡 要さんが、私だけのためにパワポを使ってプレゼンをしてくださいました。福岡さんは、学校の「地域コーディネーター」として村から採用され、学校と地域の起業者たちとをつなぐ役割をされていました。
さらに古民家をリノベーションした事務所兼複合施設「ポケット」には、下校後の子供たちが自力で歩いてきて、学童保育的な要素も兼ねていました。ここにも地域おこし協力隊の方が配置され、子どもたちの見守りや活動の企画を担当しているそうです。また、村には書店がないので、書籍の販売も小さなスペースですがされていました。
福岡さんに「あなたは何屋さんですか?」と聞くと、「なんでも屋です。」と即答されました。
福岡さんと話し込んでいるうちに、小学生たちが5名ほど下校してきて、「滋賀県から来ました。」と言うと「私のお母さん、滋賀県の大学行ってたんだよ!」と一人の女の子が話しかけてきました。百の森と書いて「百森(ももり)」さん。なんと前日に訪問した「ようび」の大島社長の娘さんでした。お母さんが県立大のOGだそうです。(笑)「今度来たときはもっといっぱいあそぼ!」と百森さん。天真爛漫なお子さんでした。
「あるの森」のタイカレーに感動!
最終日。食べ物屋さんが、あまりなかったのですが、そんな中で人口1300人の村で営業を継続されている古民家レストラン「あるの森」に、ランチを食べに行きました。茅葺屋根の古民家を全くそのまま生かしたすてきなレストランでした。
平日のお昼前だというのに、次から次へと他府県ナンバーの車が集まってくるのです。わざわざタイカレーを食べに…。しかも、リピーターさんがほとんど…。「信じられない!」という思いがしましたが…。
私もそのタイカレーを食べたところ…、リピーターが来る理由が理解できました。最高の味!言葉にならない、なんとも優しい辛さの絶品カレーでした。締めくくりにぴったりの訪問でした。ほんまにおいしかった!
旅のまとめとして…
何と言っても人口1300人の村に50人以上の地域おこし協力隊が派遣されていることに驚きました。しかも、応募者がとても多いそうで、面接で受け入れの際に厳選な審査をするそうです。この村で起業して定住することへの意識が高いそうです。
また、地域創生のモデルとして中央省庁から評価され、年を重ねるごとに太いパイプができているそうです。多賀町もオリジナリティーをアピールして、隊員の増員ができないものかと思いました。
隊員が増えることで知名度も上がり、地域への影響力も大きくなり、隊員が様々な角度から「地域おこし」に貢献できると思います。また、互いに刺激し合って大きな勢力となるようにも思います。ぜひぜひ町行政にお願いしたいところです。
正直なところ、1週間では足りませんでした。何度も訪問したいと思いました。