藤谷先生の旅日記 第8号
2024.9.9-13
藤谷先生の旅日記 第8号
2024.9.9-13
徳島県 神山町
秋の訪れとともに、徳島県神山町へ!
兼ねてからとても気になっていた地域創生の事例。徳島県の神山町に突撃訪問しました。
認定NPO法人グリーンバレーに電話すると、事前予約のない視察は受けられないという事で…。またまた「裏技」を使いました。神山町の地元小学校「神領小学校」に電話をし、村松校長先生にお会いしました。
学校目線で神山町をどのように見ておられるかをお聞きして、そこを起点としながら視察先・訪問先を紹介していただくという作戦です。
神領小学校、村松校長先生のお話!
突然の電話にもかかわらず、滋賀県から来た元小学校長を快く受け入れてくださったことに感謝…。
神領小学校は、全校児童91名のうち過半数が移住者の子供たちだそうです。I・J・Uターンの移住者や海外からのアーチストのお子さんまで…。しかし、学校は全くと言ってよいほど困りごとがなく、むしろ移住者の方々から多種多様なゲストTを招き入れられて充実した教育実践ができているとのお話でした。
私が目指したい「大滝小学校の未来図」がまさにこの姿です。
地域にも学校にも、外部からの移住者を当たり前のように温かく受け入れる風土が出来上がっていることを感じました。
一般社団法人「神山つなぐ公社」
村松校長先生からの紹介で、「神山つなぐ公社」を訪問しました。神山町役場の敷地内に事務所があり、リーダーの梅田學さんが親切に対応してくださいました。
我々の大滝地区の状況をお伝えすると、神山町でNPO法人グリーンバレーが築き上げてきた「街づくりの根幹の部分を学ばれるのがよいのでは…?」と、当時の役員(現在は顧問)をされていたキーマンの一人、岩丸潔さんをご紹介いただき、自宅を突撃訪問しました。
お会いしてわずか5分! 夕食のご招待を受けました!
岩丸さんのご自宅を訪問し、私の旅の目的をお伝えしたところ、
「それならちょうど今夜がよい。東京から来てる人と、訪問医療やら訪問看護をする会社ができて、そこの人達が来るから、夕食を食べに来てその人らの話を聞いたらええわ!」
と、なんと、初対面からわずか5分で…、夕食に招待していただきました。
岩丸さんのご自宅は、いろんな方々の「神山町の実家…?」になっているようです!
夜7時に岩丸さん宅を訪問すると、3名の見知らぬ女性が台所で料理をされていて、テーブルにはご馳走がいっぱい…。そこに岩丸さんと私、計5名で夕食会が始まりました。間もなく若い男女のカップルが2名加わり7名になりました。
簡潔に紹介すると、
東京に本社を持ち神山にサテライトオフィスを構える企業の女性社長さんとスタッフ(レイコさん、クロちゃん)、訪問医療会社のDr.と看護師(ワタルくん、ユッキー)、神山ラボ『さあ・くる』という事務所で「神山チャンネル」というYouTube番組を作っている女性(ヒートンさん)です。岩丸さん以外、全員が徳島県外から来た人たちです。
関係性を理解しようとしても最初の1時間ぐらいは「???」でした。それでも、ビールや焼酎やワインを飲み進めると、何となく解ってきたような気がしてきて…。めっちゃ楽しい飲み会になりました。
全員の共通点は、「岩丸さんをこよなく慕っている人たち」という事です。あっという間に10時を過ぎ、翌日も仕事があるので終了しました。なぜか一晩で「家族」になった気分がしました。
経験したことのない不思議な感覚でした。「なんだ…?この居心地の良さは…」そんな疑問が湧いてきました。
翌日は、レイコさんの会社「ソノリテ」、ヒートンさんの神山ラボ「さあ・くる」を訪問!
岩丸さんのお家から徒歩で行ける距離に、どちらのオフィスもあるので、続けて見学させていただきました。
「ソノリテ」は、簡単に言えば各種団体の募金活動をサポートする会社。「そんな会社が成立するんだ~。恐るべし東京…。」
そして、神山ラボ「さあ・くる」は、神山町内の移送サービスのマネジメントと神山町の広報活動のペーパレス化の取り組みとして、高齢者にタブレットを貸与し、だれもが端末を使い慣れ親しんでもらうために、YouTube番組『神山チャンネル』を制作している会社でした。こちらは、多賀町にも導入したい取り組みだと思いました。
町営の集合住宅と放課後の子供たちの居場所「鮎喰川コモン」
移住者に対して空き家の提供が不足していることと、子育て世代が学校の近くで安心して生活できるように、町営の集合住宅(木造のアパート)が4棟~5棟ほど(20世帯くらい?)作られていました。
そして、そのすぐ隣には公園と放課後の子どもたちが集まってくる居場所「鮎喰川コモン」が隣接されていました。そこには「神山つなぐ公社」の職員が常時3名配属されていて、放課後の子どもたちの見守りや各種イベントを企画されているようです。
学童保育のような「子ども預かり」ではなく、自由参加の子どもたちの「たまり場」となっています。
神山旅の締めくくりは、認定NPO法人グリーンバレーの仕掛人、KEDさんと面談!!
KEDさん…祁答院弘智さんで通称ケドさん。元々は不動産会社のコンサルをされていた祁答院さんですが、若者たちを束ねる「卓越した魅力」を持ち合わされていて、徳島市で音楽イベントを成功されたり、人口5000人足らずの神山町の町づくりに興味を持ち、設立されたばかりのNPO法人グリーンバレーの活動に自らボランティアで参入されたり…。想像通りの「熱量半端ない!!」人でした。
その後、「神山塾」(厚労省の職業訓練支援事業)の塾長として、300名を超える卒塾生を輩出され、驚くのがそのうち4割ほどの修了生が、その後も神山町に移住して仕事をされているという事実です。
60分の約束が約90分間、まちづくりの秘策をいくつも教えていただきましたが、ここでは一つだけ紹介します。「大滝の町おこしをしたいと思っている志の高い者が数人集まって、みんなで意見を言い合いながら『まちづくりを楽しんでみる』という視点が大事です。」…と。
おまけに…
気になりながら今回は訪問できなかったところを2つ。
①「おうち診療所 神山」
1つ目は「おうち診療所 神山」病気や障がいがあっても住み慣れた場所で暮らし続けられるように医師や看護師がお手伝いをするという医療の会社。
②学校法人神山学園「神山まるごと高専」
2つ目は、神山町のすごさを結集して2023年度開校した学校法人神山学園「神山まるごと高等専門学校」です。
次回の訪問までにリサーチをして、ぜひ視察したいと思っています。
旅のまとめとして…
今回もオフィシャルなルートで視察をお願いしたら、「基本的に、視察は有料となっておりますし、事前予約がないと無理です!」と丁重に断られました。「そやけど…。行き当たりばっ旅やし…。お金もないし…。」
またまた、地元の小学校長を頼って姑息な手段を使いました。(笑)
神山町のまちづくりが成功したのは、行政主導ではなく民間主導(NPO法人グリーンバレー)で行われた点です。行政担当者は、3年ほどで担当者が変わり、なかなか取り組みが積み上がっていきません。しかし民間主導で取り組むと、時間はかかっても確実に積み上がっていきます。
NPO法人おおたき里づくりネットワークが「音頭取り」をして、民間有志の方々を募り、少しずつ勢いを強めて行ければなあと思う今日この頃です。