藤谷先生の旅日記 第4号
2024.6.11-13
藤谷先生の旅日記 第4号
2024.6.11-13
京都府 南丹市美山町
第4回遠征は、京都府南丹市美山町へ!
今回の遠征は、金曜日に用事があるので2泊3日で、お隣の京都府南丹市美山町に行くことにしました。道の駅「美山ふれあい広場」で農産物や加工品を販売しているとの事前情報を確認に行きました。
しかし、訪問してみると「びっくり」の連続…。美山町すごかった。
道中で寄り道、福井県おおい町の(株)名田庄商会!
今回も都市部の渋滞を避けるために北回りで美山町を目指しました。その途中に福井県おおい町で、何やら大きな暖簾が建物の前に設置されていて「あきないどころ」と書かれていました。気になって立ち寄ると、職員さんがすぐに出てきてくださいました。(株)名田庄商会の下山部長さんでした。
(旧)名田庄村がおおい町に吸収合併されるときに、村の存在を残すために(株)名田庄商会を設立されたそうです。第3セクターの会社です。社長は当時の村長、従業員はすべて村民でした。
漬物の製造販売と特産物の自然薯を練りこんだ自然薯そばの製造販売をベースとして、福井県で最も早く道の駅「名田庄」を開駅し、その運営を名田庄商会がしているそうです。漬物と自然薯そば以外の商品もたくさんありましたが、外部へ委託製造してもらったものを販売しているそうです。
従業員は正社員が30名ほどで、その人件費は、売り上げと町からの指定管理費で賄われているそうです。
下山部長さん、名刺を見せたら野球つながりがたくさんあって、とても親切に対応してくださいました。
一般社団法人「美山観光まちづくり協会」へ直行!
なかなかの山奥でした。しかし「美山」という名前の通り、美しい山々に囲まれた景観の良い町です。
道の駅「美山ふれあい広場」の一角にある美山観光まちづくり協会に行きました。驚いたのが観光に関するチラシやパンフレットの多さ!この規模の町で、どれだけ事業やイベントをやってるんや?と驚愕しました。
協会の方への質問内容を精選するために、とりあえず今日のところは、車に戻って膨大な資料を読み込むことにしました。
風呂探し、河鹿荘を発見!
こんな山奥なのでさぞかし温泉がいくつもあるのだろうと思いきや…、近隣の地図には全く出ていません。ネットで検索しても近くに温泉はありませんでした。
その中で、「河鹿荘」という宿泊施設が日帰り風呂を営業しているとの情報を得て、日没近くに行きました。温泉がないのは少し残念な思いがしました。しかし、河鹿荘のお風呂は、露天風呂、内風呂ともにコンパクトながら風情があり、しかも肌触りの良い「水質の良さ」を感じるお風呂でした。燃料は美山の間伐材を活用されているそうです。
一般社団法人「美山観光まちづくり協会」の設立
2日目は、早朝から動き出しました。真っ先にまちづくり協会に行きたかったのですが、なんと定休日。
やむを得ず、大野ダムに向かいましたが驚くのは、どの道を走っても草刈りが行き届いていること。耕作放棄地も大滝地区と比べると少なく感じました。まちづくり協会の事業理念を読んで納得…。
『日本の農山村の原風景とそこに息づく暮らしが美山町には残っています。(中略)神社やお寺を守り、田畑を耕し山林を育て狩猟を行い…、(中略)貨幣経済には馴染まない相互扶助の精神が今もなお根強く息づいています。(中略)先人が残した美山の文化や風景を体験や交流を通して訪れる全ての方に届けます。』
素晴らしい理念に感動しました。ぶれない理念が大事です。
おむすびカフェ「美山のことむすび」を訪問!
前日入手にしたチラシの中に、「おむすびカフェ」という耳慣れない商売…。チラシの地図を頼りに向かいました。由良川の清流を眼下に見おろす最高のロケーション!そのほとりに、手作り感の強い小さな小屋が建てられていて、由良川側には板を打ち付けただけのテーブルが3台。ただそれだけの店舗です。しかも開店時間は10時~14時まで。
子育て真っ最中の主婦=中島さんが一人で「おむすびカフェ」を切り盛りされていました。コーヒーを注文し、常連のお客さんとおしゃべりしました。1時間くらいの間に数人のお客さんが次々と来られました。中島さんに聞くと「1日平均50人くらいですかね~。お小遣い稼ぎ程度です~。」と最高の笑顔で話されました。
でもでも、この営業時間で50人お客があれば大したものだと思いませんか。こんなちょっとしたお店が大滝地区にもできないでしょうかねえ…。(例:『たこ焼きカフェ忍々亭』)
美山町のシンボル的な観光地、「かやぶきの里」へ、しかし…
おむすびカフェの後は、美山町のシンボルともいうべき観光地「かやぶきの里」へ行きました。台湾との交流があるらしく、観光客の半分以上が中国語を話されていました。
30戸ほどの集落ですが、観光地として今も茅葺の民家を維持されているそうです。その中の数軒の空き家を活用して、古民家レストランやカフェ、ピザ屋さん、蕎麦屋、アトリエなどを運営されていました。
しかし、ハプニング発生!手さげかばんをおむすびカフェに忘れてきてしまいました。駐車場の方に事情を話し、再入場させてもらえるという約束をいただいて、「かやぶきの里」を出ました。
おむすびカフェのご夫婦が、「絶対に会ってください!」…と!
恥ずかしいハプニング。経営者の中島さんご夫婦が笑顔で営業時間が終わっているのに待っていてくださいました。
水道工事をされているご主人が、「滋賀県なら余呉小中学校の松田さん、知りませんか?」と話しかけられました。かの有名な学校事務職員の松田幸夫さんです。そこから話が盛り上がり、「藤谷先生はうちの榊校長と絶対に話が合うわ!会ってから帰ってください!」…と。ためらいもなく校長にラインをして、私の紹介をしてくれました。
そして、翌日の午前まで美山に滞在していることも伝えてくださり、出張中の榊校長先生からの返事を待つことになりました。
最終日、美山小学校、榊校長先生と会う!
前日の夕方に榊校長から電話をいただき、最終日の午前10時に美山小学校を訪問することになりました。58歳、校長2年目の榊貢校長先生でした。
第一印象から、「感じの良い校長先生」であることがわかりました。穏やかな話しぶり、それでいて無駄のない発言、地に足の着いた学校経営、ユニークな発想、中島夫婦が「絶対に会って!」と言われた理由がすぐにわかりました。
お互いの自己紹介をして、学校目線での美山町の姿を教えていただきました。予想通り「魅力的な町」だと感じておられました。しかし、課題もたくさんあって、その一つ一つを「校長」という立場で改善しようとされていました。
その一つが5年生児童の地域へのホームステイ…。「なぜ美山町に住んでいる子供たちが、美山町でホームステイ?」と思われるでしょう?しかし榊校長先生は、「家族以外に、信用できる大人の存在を子供たちに感じさせたいんです。」…と。「この美山町には、自分たちを大事にしてくれる大人がいっぱいいる」ということを肌で感じさせたいのだそうです。「納得」でした。
わずか1泊…。しかし、その翌週の週末には、両親とその宿泊先のお家にお礼の訪問…。予期せぬ交流があちこちで生まれたそうです。
もう一つは、「月曜日の6時間目…遊んで帰ろう!」の取組。
月曜日は5時間下校の日だったのですが、家に帰っても友達の家は距離が遠くて遊びに行けない。だから、全員学校に残ってみんなで遊んでから下校するという取組をされていました。素晴らしい発想です。
あっという間に2時間以上話し込んでいました。お互いに名残惜しい思いでお別れすることにしましたが…。榊校長も去年にハイエースベースのキャンピンクカーを購入されたそうで、「藤谷先生の車、見たいです!」と言ってくださり、時間をオーバーしてキャンピングカー談義もしました。
そして次回は…、車中泊で交流することをお約束して帰路につきました。
旅のまとめとして…
美山町では、かなり積極的に移住者の受け入れをされています。町のいたるところに看板やチラシが設置されています。そして、たくさんの人たちが移住してきています。
若者たちは華やかな都会での暮らしに憧れます。しかし、一方では、都会での暮らしに「苦痛」を感じて、田舎での暮らしに憧れる人たちもたくさんいるのです。
大滝にも、そのような人たちを本気で受け入れてみませんか?